Final Day Report
Yuma Nagasawa

10月14日の土曜日。ファイナルデーにぴたりと合わせたように、台風15号のバックスウェルが花徳浜に押し寄せた。周期10~12秒の東うねりはセットのインターバルがしっかりと長い。

早朝から会場では勝ち残っている選手たち、そして島に残っている選手たちがフリーサーフィンで迫力のある波をキャッチしていた。

日が昇ると水平線から射す朝陽は波のフェイスと波飛沫を透き通り、白い砂浜と高い水質を誇るここ花徳浜ならではの色を発していた。なかなか日本国内では見られない光線と波のコラボレーションの中、レベルの高いフリーサーフィンを披露するジュニアのメンバーたち。素晴らしいモーニングショーからファイナルデーがスタートした。

コンテストディレクターの河合とヘッドジャッジの橋本の協議の上、ファーストコールは7時だったものの、8時半までオンホールドとなり、コンテストは潮が引きミッドタイドを迎える9時からのスタートとなった。

まずウィーメンズのセミファイナル、ヒート1のレッドにはJr.アジアランキング第2位のカワセココナ。ブルーは15歳のスズキリタ。1ヒート25分ある中で、前半はスズキがリードしていたものの、カワセが3本目で4.00を出し、リードがカワセに入れ替わる。

Rita Suzuki
Rita Suzuki
Rita Suzuki

終盤に差し掛かるとカワセが高さのあるセットを掴む。丁寧にライト方向へパワーゾーンをキープしながら板を走らせ、最後は難しいショアブレイク気味のリップへタイミングを合わせコンプリートさせた。迫力ある波をメイクしたカワセに観客からは拍手が沸いた。

スズキも波選びが悪い訳ではなかったが、ヒットが入るポケットを見つけるのに苦戦し、決勝進出はカワセに譲る結果に。

Cocona Kawase
Cocona Kawase

ヒート2ではレッドにイケダミライ。ブルーにJr.アジアランキング第3位のマニワサイ。イケダは高さとパワーのある波に、いつもより長さがある板をチョイス。両者とも5点をマークし、バックアップ争いになる。マニワが後半逆転ウェーブを掴んだかと思われたが、ボトムターンを入れずらい波にリズムを合わせきれなかったのか、いつも通りの勢いを出せずスコアが伸びない。

結果このヒートはレッドのイケダがフィナルへの切符を手に入れた。

Sai Maniwa
Mirai Ikeda

メンズセミファイナルヒート1では早々にアジアランキング第2位のレッドのマデ アリヤナがライト方向の波でパンチのあるヒットを入れ、続けて掴んだワイド気味の波でも同じように縦への角度を付けたヒットを入れアベレージスコアを2つ手にいれる。ブルーのワケショウタロウも同じようにライト方向の波を掴む。しかしい波の形は良いものの、キャッチした波はレールを入れずらく縦へのアプローチが入れずらい。

Shotaro Wake
Made Ariyana

3本目で掴んだ波はインサイドまで繋ぎフィニッシュに持っていったもののスコアは3.80止まり。ワケは今大会3位でフィニッシュ。インドネシアのバリ島からはるばる来たレッドのアリヤナが決勝の一枠を勝ち取った。

セミファイナル ヒート2は会場左のピークからゲームがスタート。オープニングでレッドのヤマモトがバックハンドで3.50をマークすると、同じような波を後から掴んだブルーのナガサワが4.27をマーク。ここからナガサワのリズムが上り調子になっていく。2本目で7.00、その後も彼は程よいサイズ感の波を幾つか自分の所に引き寄せる。

Yuma Nagasawa

残り時間4分、このヒートでのハイライトがやってくる。ヤマモトが狙う波を、ナガサワがプライオリティーを使いチャンスを与えずテイクオフ。ライト方向でビッグフィニッシュをきめハイエストスコアとなる8.83を叩き出し、トータルスコアを15.83とする。ヤマモトはきれいなラインどりでサーフィンを披露するものの、絶好調のナガサワには太刀打ちできず今大会は第三位という結果に終わった。

Raimu Yamamoto
Raimu Yamamoto
Mirai Ikeda

ウィーメンズ決勝はレッドのカワセココナが前半リズムよく波を掴み、このままさらにスコアをビルドアップして優勝に近づいていくのかと思わす展開に。ブルーのイケダミライはいい波を掴みたいがなかなか上手くいかない。せっかく掴んだ波をものにできない前半だった。

Cocona Kawase
Cocona Kawase

流れが変わったのは30分の決勝の中で半分が過ぎた頃。イケダがライト方向へ乗った波で、テールを蹴り込みコンプリートさせたライディングで4.37をマーク。これによってシチュエーションが変わりイケダがリードする立場に。結局ここからカワセは反撃することができず、最後に乗った波も3.10と逆転には届かない。逆にイケダがラストウェーブで更にハイエストスコアを塗り替え、ヒート後半で2本を揃えたイケダが見事WSLで初となる優勝を手に入れた。昨日のU16ガールズ優勝と合わせ、嬉しいダブル優勝を飾った。

Mirai Ikeda

メンズの決勝は2人のグーフィーフッター対決。レッドのアリヤナの持ち味は太いライン取りと、大きな波にも負けない脚力から生み出される爆発的なパンチ力。対するブルーのナガサワはバラエティーあるスタイリッシュなサーフィンと、何と言っても彼自信の上向きでしかない勢いだ。

Yuma Nagasawa

まず掴んだオープニングウェーブでは観客の前まで乗ってきたブルーのナガサワ。パドルバックでポイントコール5.67を聞きガッツポーズを見せる。ここからナガサワは海全体をうまく読み取り、絶妙なポジショニングで波をキャッチし続ける展開に。波選びで苦戦するレッドのアリヤナと、波がよく見えているナガサワ。

Made Ariyana
Made Ariyana

アリヤナはメンタル的に自信を追い詰めてしまったのか、せっかくキャッチする波もワイプアウトが続く。全くいつも通りのサーフィンができない。アリヤナが乗るレフト方向の波はどうしてもショルダーが落ちていってしまうため、フィニッシュでの一発逆転も叶わない。

結果モーメンタムをキープし続けたナガサワが嬉しい優勝を手に入れた。

Yuma Nagasawa

ナガサワは今大会誰よりも早く一番乗りで徳之島入りし、島のローカルサーファー達とコミュニケーションを取っていた。この自然豊かな島の波長にうまく解け込んだナガサワだからこその結果なのかもしれない。

そしてメンズファイナリストの2名はWJCへの切符を賭けた非常に重要な戦いだったため、ナガサワにとってはとても意味のある優勝となった。合わせて彼のお母様の誕生日ということで幾つもの喜びが重なった生涯記憶に残る試合になったに違いない。

こうして記念すべき徳之島町で初となるWSLの試合は素晴らしい天候と波に恵まれた3日間となった。選手たちにとってもサーフトリップを兼ねた試合となり彼らの思い出に深く刻まれた日々になっただろう。

徳之島の島民の方達、そして近隣の島の方達が大切にしている宝石のような波。今大会のストーリーと美しい瞬間を切り取った写真は多くの人の目に留まるだろう。その時、この島に訪れた選手たちがこの場所へ抱いた神聖な思いと、尊敬の念がそれを見る他の人全ての方々にも伝わることを願う。

この美しい花徳浜を貸してくださった徳之島町の方々に大きな感謝の気持ちを持つと共に、またぜひともこの美しいビーチに戻って来れることを楽しみにしたい。

キッズチャレンジ U16 Girls

Winner:Mirai Ikeda
2nd:Kana Yamada

キッズチャレンジ U16 Boys

Winner:Ren Okano
2nd:Ride Miyahara
3rd:Naoto Kunishige
4th:Masaharu Uno

WSL Tokunoshima Town Pro Jr 1000 / Women's

Winner:Mirai Ikeda
2nd:Cocona Kawase
3rd:Sai Maniwa
3rd:Rita Suzuki

WSL Tokunoshima Town Pro Jr 1000 / Men's


Winner:Yuma Nagasawa
2nd:Made Ariyana
3rd:Shotaro Wake
3rd:Raimu Yamamoto


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